ハンドルカバーほど、悲しくなるようなダサさとこれ以上ない優れた機能を両極端に持つバイク用品はそうあるまい。すなわちこれは多くのバイク乗りにとっては、どんなに寒くてもこれを付けたら負けだという己の美学との一騎打ちだ。バイク乗りは色々とつらい。冷たい風が顔をちぎっていくような日にも我々はバイクに乗る。信号待ちでは身をかがめ、かじかんだ手をエンジンのフィンに当てればグローブ越しに幾分温かさが伝わってくる。隣のクルマに目をやると、ヒーターの効いた車内ではカップルがポッキーなんかを食べて完全に楽しそうだ。
でも我々はバイクに乗る。「我慢=カッコいい」という謎の方程式を胸に秘めつつ。しかしそれでも自然の脅威とおすすめグッズの前に、鉄壁だったはずの強い意志はあっけなく崩壊していくこともある。
ハンドルカバーはちょっとアレだけど、グリップヒーターなら悪くないな。
最近ではメーカーの純正オプションにもグリップヒーターはあるし、標準装備しているバイクだってある。ところが悲しいことに、我がCD125Tはジェネレーターの発電能力が弱いので、後付けの電装品はなかなか厳しい。しかもグリップヒーターはけっこう消費電力が多いので導入は自主規制するしかない。
昔見たテレビ番組で、冬のモンゴルで少年たちが馬の競争をするというのがあった。凍てつくモンゴルの白い高原を走り、ゴールした少年の手は凍傷で色が紫色になっていた。温めるために水が入ったバケツに手を入れていた。恐ろしい。
私は冬のシベリアを走る訳では無い。春だ。それでも寒いに決まっているので準備はしておく。2年前に買った、ZETA CW ハンドウォーマー。
このカバーを使用するには、ハンドガードが必須となる。ハンドガードはBMW R100 に付けていたやつのお下がり。それもハンドルカバーと同じメーカー「ダートフリーク」の製品で、アーマーハンドガード XC PRO キット。
左手クラッチレバー側
右手アクセル・前ブレーキレバー側
グリップヒーターが併用できれば無敵なんだけど電気的に厳しいので、代わりにホカロンをカバー内に忍ばせておこうと思う。少しは指先が温まるのではないかと思う。
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