もう大ショック!ホントに私は大バカ!デジカメの画像を保存する前に全部消去してしまった。6日間のキリマンジャロ登山の記録が消滅してしまった。
珍しい植物も、岩と雪の世界も、連れて行ってくれたガイドやポーター達の写真は無い。残念すぎて呆然自失。
10月26日(日曜):キリマンジャロ登山はツアー会社に参加しないとできない。ネットで調べて「マタタツアーズ」でいいやと決めていた。前日に概略を聞いていたので、この日はツアー代金を払いにいく。
参加者は筆者のみ、ガイド含めチームは6名。タンザニア政府に支払う入山料820USドルを含め1500USドル。レンタル品や食料費とチームの最低賃金は含まれるが、チップは別途渡さなければならない。



5泊6日のマチャメルートでのキリマンジャロ登山は決まった。
登山1日目
10月27日(月曜):朝ホテルをチェックアウト。車がお迎えに来る。1台の車にメンバーが全員乗っていてぎゅうぎゅう詰め。数キロ先のマチャメルート登山口(標高約1800m)へ向かう。
ガイドが登山事務所で手続きをしたり、ポーター達が準備をしている少しの間待つ。晴れていて暑い。そして出発。この日は標高約3100mのキャンプ地まで登る。
樹林帯の中を歩くが、暑くて汗が吹き出てきてキツイ。1日目にして既にくじけ気味だ。最後の方はヘロヘロでキャンプ地に到着。
筆者のために用意されたテントは、日本でのオートキャンプで使うような大型テント。1人で使用するには贅沢すぎる。通常の登山テントを想像していたのでびっくりだ。おまけに前室にはテーブルとイスも用意されている。そしてテーブルにはクロスが掛けられナイフ・フォークが並ぶ。
また、キャンプ地到着と朝には洗面器に入れたお湯が出される。ご飯の量はとても多く、とても食べ切れるものではない。疲れと共に食欲もないので、半分も食べられない。こういう状態が最後まで続いた。
登山2日目
10月28日(火曜):登山2日目。10時間寝たので体力は回復した。
この日のキャンプ地は3800m越え地点。けっこう傾斜のきつい登りが続く。距離的にはこの日が一番短かかった。余裕があったのはこの2日目までだった。
それにしても現地のポーター達は強い。我々登山をしに来る外国人たちがキャンプを先に出発し、そのテントを撤収し、それを担いでからポーターは出発するのだが、途中ですぐに追い抜いていく。はじめのうちは「ジャンボー(スワヒリ語でこんにちはー)」などと筆者も調子よく声をかけるが、次第に疲れて声も出なくなり「ヒャンボ〜」みたいな感じになってしまう。
テントに着くやいなや横になる。そして晩ご飯を少しだけ食べて、10時間寝た。
登山3日目
10月29日(水曜):キリマンジャロは11月から雨季ということで、10月下旬は季節の端境期となり、この日は途中から雨となった。
キリマンジャロ固有のジャイアントなんとかという巨大な植物が生えていて写真も撮ったけど、今は無い…。
一度4600mくらいまで登るが、3900mのキャンプ地まで下る。こういうのヤダ。
登山4日目
10月30日(木曜):朝から雨で憂鬱なまま出発。途中強烈な登り返しがあり、気力が萎える。
雨で衣服は濡れ、寒い。低体温症を実感できるような厳しい状態で、暗くなる頃なんとかキャンプ地に到着。小屋に入れてもらい、上半身の服を全部脱いで調理用の大型ガスバーナーで温まる。手の震えが止まらず、嫌な結果も頭をよぎる。30分くらい温まり、乾いた衣服を用意してもらいようやくテントに入った。4600mキャンプ地は寒かった。
登山5日目
10月31日(金曜):通常はこの最終ベースキャンプを夜中に出て、山頂などでご来光を見る。筆者の場合、前日の到着が遅かったので早朝出発に変えてもらった。が、それでも5時前に行動を開始する。なんとか準備を整えガイドと共に歩き始める。天候は晴れ。シェフとポーター達は山頂アタックには同行しない。
4600mのベースキャンプから山頂までは1200mは登らなければならない。いくらも登らないうちから筆者の中では「多分無理」という言葉が芽生え始めていた。すでに雪と岩だけの世界。キリマンジャロの姿は目の前にあるのだが。
「少し歩く+すぐ休む」を何度も何度も繰り返し、5300mころからガイドに弱音を吐きまくる。ガイドは辛抱強く筆者が進み始めるのを待つ。そして言う、「ポレポレ(ゆっくりゆっくり)」
でもやっぱり体力の限界が来た。無理だった。ガイドに「ここまで」と宣言した。ステラポイント近くだった。ガイドは「よくやった」と声をかけてくれた。
3900mのキャンプ地までの下山はとてつもなく長かった。最後に精も根も尽き果て、テントに入ると死んだように寝た。
登山最終日
11月1日(土曜):朝起きたら快晴だった。下山前にチームがキリマンジャロの歌で筆者の山行を称えてくれた。
下山は最終ゲートまで距離で12km以上、標高は約2000m下る。疲れ切った足にさらに負担がかかる。特に高さのある段差がキツイ。
少しずつ気温や植生が変化してくる。木の上にいる白黒デザインのコロブスモンキーやブルーモンキーを撮したが、今写真は無い。返すがえす残念。
昼を過ぎ、そしてくたびれ果てた末に、14時ころ登山事務所のある最終ゲートに到着した。ここでガイドが登山者の登頂証明書の発行手続きをする。

キリマンジャロの真の山頂はウフル(5895m)だけれど、山頂付近の稜線まで到達すれば、最低基準を満たしたとして登頂証明書を発行してもらえる。筆者はステラポイント(5700mくらい)あたりまで登ったので、そう判断されたのである。
なんか表彰台で銅メダルをもらいながら、金メダルの人と同じだからねと優しくされた、そんなちょっと素直にガッツポーズが出せない微妙な心情なのである。
ということで最終ゲート登山事務所前で、疲労困ぱいの中、登頂証明書を見ながらあまり冷えてないコーラで一人ほろ苦い祝杯をあげた。
車でモシに戻り、マタタツアーズで装備品を下ろしてからホテルでガイドにチップを渡した。あとはガイドがポーター達に分配する。これで全て終了した。
ホテルは山行前と同じホテル、預けていた荷物を受け取り、重い足で部屋までたどり着く。シャワーを浴び、衣服をホテルのランドリーサービスに出し、電池の残量ゼロのスマホの充電をする。
この日から、インターネットはタンザニアの大統領選挙のため丸2日間遮断され、非常に不便だった。
キリマンジャロへ行くなら
◯もしキリマンジャロ登山だけを目的に行くなら、できるだけ自分の使い慣れた装備品を持って行った方が良いでしょう。マタタツアーズはじめ登山会社によってはレンタル品がショボいので、快適ではないし気力や体力にも負担になる場合がある。
◯4000m付近でのキャンプが基本で、朝晩はかなり冷える。寝袋は厳冬期用がおすすめ。なければインナーシュラフくらいはあったほうがいい。
◯体力に自信がない人は、エネルギーチャージ的なゼリーを自分の好みのものを大量に用意するほうがいい。重くてもポーター達が運んでくれる。気になるならチップをはずめばよい。
◯チームのシェフの料理は、美味しいものもあれば口に合わないものもある。当然である。例えば自分の好みのカレーやパスタのレトルトを日本から持って行けば、食も進み体力の源となる。何の気兼ねも要らない。筆者なら次回は(無いが)そうする。
◯レインシーズンは避けた方がいい。冷たい雨は装備品を濡らし、体の温度も奪っていく。
◯高山病予防薬「ダイアモックス」は準備するべき。筆者は処方箋どおりに服用した。5000m以上でも頭痛や吐き気、その他体調不良は一切発生しなかった。多分体質も関係あると思うが。
キリマンジャロは標高も高いしアプローチも長いが、技術的な難しさは無いので、普段から登山経験があり体力が人並みなら登頂確率は高いでしょう。あとは高山病になるか、ならないかが成否の分かれ目かと思う。
以上、ピークに立つ事は出来なかったが、けっこう頑張ったキリマンジャロ登山挑戦でした。

コメント
コメント一覧 (2件)
大変お疲れ様でした。
5,700mまで登ったのですからそれはもうスゴイことです。
ぴーぱーは四千をほんの少し越えたことはありますが、五千はおそらく別世界。うらやましい。
とにかく怪我無く降りて来られたようで安心しました。
データを消去してしまったのも、疲れすぎていたせいでしょう。でも想い出は心の中に残っているはず。
予定ではこの後アテネでしょうか?
まだ疲れも取れきっていないと思いますが、無理せず無理して観光して下さい・笑。
ぴーよしさん、こんにちは。
直接メールに返信しました。