ご搭乗の皆様、当機は香港国際空港にむけ、徐々に高度を下げてまいります。
シートベルトはゆるみの無いようお締め下さい。
お使いになりましたシートのリクライニング、テーブルは元の位置にお戻し下さい。
ビジネスクラスのお客様は、ヘッドレスト、フットレストもお戻し下さい。
これより先、化粧室のご使用はお控え下さい。
なお到着地カイタック空港の天候は曇り、気温は摂氏24度と報告を受けております。
本日もアリタリア航空をご利用いただき、ありがとうございます。
乗務員一同またのご搭乗をお待ちしております。
飛行機は少しずつ高度を下げてゆき、雲の切れ間から香港の島々が見えてきた。
1度大きく旋回し、更に高度を下げ、ギアダウン(着陸装置を出す)。機は香港島の西側を迂回し水平飛行に入ると、東の九龍半島に突っ込む様に向かって行く。(なお、上のアイキャッチ画像は2023年のもの。)
さあ、ここからが名物香港アプローチだ。
カイタック空港の滑走路13は周辺を小高い山に囲まれていて、飛行機は直線状に降下着陸することができない。滑走路直前での右急旋回が必要なのだ。
低い高度を維持しつつ、パイロットは誘導電波を発するマーカーに向け飛行機を進入させて行く。すでに九龍住宅街上空、マーカーのある丘を通過後、すぐにパイロットはマニュアル操縦に切り替え右旋回。右の翼を下に傾けながら、視線はその先に伸びる滑走路。右に傾いた機体を水平に戻し安定させ、次は地上のビルに設置された着陸進入灯に従い、目視で最終着陸態勢に入る。
その後タッチダウン。スポイラー全立てと逆噴射で急制動、すぐに滑走路を外れ誘導路に入る。
この一連の香港アプローチのため、カイタックはパイロットの技量が試される、着陸難度の高い空港とされていた。
香港アプローチを機内から窓越しに見ると、建物スレスレを飛ぶ様に感じ、実際店の看板の字もしっかり読み取れる。「干してある洗濯物を引っ掛ける様な着陸」と形容されていた。
特に夜はとてもきれいで、何度かこの九龍の夜景を見る事ができたのはいい思い出である。
また誘導灯との誤認防止のため、「店などの広告ネオンの点滅禁止」も有名であった。
そんな香港名物も1998年を最後に見られなくなった。カイタック空港は廃止され新空港に移管された。
さて、1987年2月末から数日の日程で、大学のバイク仲間2人と香港・マカオに行った。
特に目的もなく、旅行と言えるほどでもなかった。ただ何となく行っただけ。
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