ロシア2(5):ボルゴグラード〜グルジア軍道入口、 850km3区間

8月30日(土曜):『同士少女よ敵を撃て』の本の部分は、キルギスのビシュケクで自転車旅の日本人にあげて、カバーだけをボルゴグラードまで持って来ていた。主人公セラフィマが生きていたのは、この地スターリングラードであったという、やや感傷的な思いからである。


英語のできるフロントのお姉さんに本の内容を伝え、カバーを置いてきた。チェックアウトの時、飾られているのを見つけ、嬉しかった。


この日の宿泊地はボルゴグラードから南に300kmの地点にある、エリスタという街。ここはとても珍しい土地である。エリスタはカルムイク共和国の首都で、カルムイク共和国はヨーロッパ(西部ロシアをヨーロッパとするなら)で唯一の仏教国。民族はオイラト人でチベット仏教を信仰している。

確かに街を歩く人は東アジア系の顔つきをしている。


「オン・マニ・ペメ・フム」仏教で六字大明呪というらしい。ロシア語で書かれているのは、かなり珍しいはず。この写真では、「オン・マニ・パドメ・フム」とある。
市内に入ると、アパートの壁にお釈迦さまが。
まるでモンゴルにいるかのよう。


アプリ「ゼンホテルズ」で予約・支払いができた安宿。食堂は工事中で閉鎖中。フロントで売っていたカップラーメンを晩ご飯にする。


1泊28USドル、まあまあ。
Wi-Fiは部屋では使いもにならず、フロント前なら強力。


本日の走行距離:304km


8月31日(日曜):出発しようとバイクを見たら、風でカバーがめくれていた。ふと違和感を感じた。あれ、シートカバーが無いぞ。筆者自作のカバーでケツ痛防止の重要アイテムである。無いと困る。辺りを探し回るが見当たらない。放し飼いのワンコがいたので、こいつらがどっかに持って行ったのかなとウロウロしていたら、ホテルの隣の家のおじさんがカバーを手に現れた。案の定ワンコがいたずらをしたのだった。

さて、エリスタからウラジカフカス(グルジア軍道)までは、当初3日かける予定でいたが、もっといいルートを見つけたので2日で行くことにする。しかも距離も短くなり一石二鳥。

途中ガソリンスタンドで休憩していて、ふとスマホを見たらネット通信が復活している。数日前のロシア入国からずっと不通が、突然使えるようになった。このままあと2日使えるのだろうか。

この日は、ゼレノクムスクという街。そしてあたりを付けていたホテルが当たりだった。(ダジャレじゃないよ)街道沿いのカフェ・ホテルでは過去一番、併設の食堂も美味しかった。


1泊3500ルーブル、オススメですね。朝食付き。
エアコン付き・Wi-Fi強め。


本日の走行距離:270km


9月1日(月曜):エリスタからのルートを変更したので、チェチェンやイングーシといった、独立紛争のあったちょっとやばそうな響きのする土地を通過しなくてよくなった。でも本当は寄ってみたかった。


カバルダ・バルカル共和国に入る。その名前、初めて知った。

そういった北オセチア地方はモスクワにとって脅威なのか、町の出入り口や主要道路の分岐などにはパトカーと警官がスタンバっている。今日1日で筆者は4回止められパスポートを見せたりした。うち1回、何故か警官がペットボトルの水をくれた。


さて、みなさんの中で「ベスラン学校占拠事件」を覚えている方はいるだろうか。

チェチェン独立派武装集団がベスラン市の中学校を占拠し、子供から大人まで1181人の人質を取り、386人が死亡した壮絶なテロ事件である。

現場の学校は記念施設となっていて、今日のルートの途上にあるので寄ってみる。実は前から来てみたかった場所である。

学校の前まで来ると、なにやら警官がいて関係者的な人も多く変な感じがする。敷地内には空港にあるような入場ゲートと探知機が用意されている。恐る恐る近づき、見学したいと伝えると中に入れてくれた。

これをホテルで書いている時に知ったが、今日9月1日は事件発生日なのであった


人質が集められた体育館、
中に入ると犠牲者の似顔絵。
一礼し、手を合わせてきました。


廊下には事件を時系列化したパネルと写真が展示されている。
出口では冷えたクワスを振る舞ってくれた。美味しいねと言ったら、もう一杯くれ、さらにペットボトルにも入れて持たせてくれた。


教室の壁には沢山の銃弾の跡もあった。カンボジア・プノンペンにある「トゥールスレン刑務所」を見学した時と共通した、うすら寒い恐怖を感じた。

やはり来てよかった。施設の出入り口で、手を振って見送ってくれた人たちを忘れることは無いでしょう。


今日の宿は国境まで12kmの場所。

ロシア最後の宿、1泊32USドル。朝食付き。
エアコンなし・トイレシャワーは専用。


本日の走行距離:280km


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