死海で水に浮いてみる。これは人類の夢、旅人の夢。
「塩分濃度と比重の関係で人体が浮く」のが物理の法則らしいが、実際に経験してみるとこれはとても不思議な感覚だ。岸から数メートルの所まで行って、そっと背中から水に浸かる。沈む感覚が全くしない。浮遊感を背中に感じ、あとは写真の通り。
死海の塩分濃度は33%、舐めてみたら強烈にえぐい味がした。「しょっぱい」なんて言葉が甘すぎる、不快な味覚。また目に少しでも入ったら危険なので、そっと水からあがりシャワーを浴びた。
ツーリング2日目、豪華な朝ごはんを食べて、モーベンピック死海リゾートホテルを出発する。標高マイナス400mを走るが、酸素が濃すぎて呼吸がどうとか、そういう事はまるで無い。標高プラス400mにいても、何も影響がないのと同じだ。
ヨルダン川東岸を行く。左手側数キロにはヨルダン川が平行して流れ、パレスチナとの国境となっている。いわゆるヨルダン川西岸地域だ。この辺りは、はるか昔イエス・キリストが活動していた一帯で、キリスト教徒にとっては巡礼地地帯である。
さてこの日、非常に腹の立つ出来事に遭遇した。今(2023年)までいろんな国に旅行し、いろんな経験をしてきているが、このヨルダンでの一件ほどムカついたことはない。
ヨルダン国道65号線を走っているわけだが、途中途中でいくつもちいさな集落を通り過ぎていく。その時だ、ガキが小学生くらいのガキが石を私に向かって投げつけるのだ。私が自転車でやってくる姿を発見すると、何か獲物を見つけたように楽しそうに叫びながら、石を拾い投げてくる。
怒鳴ると散って逃げていく。それを見ている大人は、すまなそうに私になにか言う。集落を通過するごとにこんな感じだ。ヨルダン、一体この仕打ちは何だ?
自転車の旅行者が異国の文化に見えて気に入らないのか。イスラエルの横暴に投石で対抗する、あのパレスチナの様子を真似ているのか。旅行者に向かってインティファーダみたいな事はするな!とにかく腹立たしい出来事であった。
ツーリング3日目、ヨルダン北部のイルビドという街に向かう。シリア国境が近いので、そこからバスかタクシーでシリアに入国しダマスカスまで一気に行こうという作戦である。日程があと2,3日余分にあれば、その区間も自転車で走ったのだが、日数が足りなかった。
この旅は、『lonely planet』ガイドブックを参考にしていて、本にのっていたイルビドの案内に従いバス乗り場を目指す。
シリア入国後、ダマスカス市内南部のセルビス(乗り合タクシー)乗り場のような場所で降ろされた。
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