2008年ヨルダン・シリア・レバノン 自転車ツーリング(3):「目からウロコ」の古代都市ダマスカスでイスラム銭湯体験他

シリアの首都ダマスカスは世界で最も古い都市といわれている。旧市街の観光は自転車なら楽勝で徘徊できる。

目次

イスラム浴場を体験「ハンマーム・ヌールッディーン」

イスラム世界の都市には、公衆浴場=ハンマームがある。日本の銭湯と同じだ。そして、この古代都市ダマスカスには利用可能な世界で最も古いハンマームが現存する。ハンマーム・ヌールッディーンである。

旧市街の中心に近いところにあるスーク(アラブ伝統市場)の中に小さな商店が並び、その商店と商店の間にハンマームの入り口がある。これがとても分かりづらい。

アル・ブザリヤスークを歩く。ここにハンマームがある。
ハンマーム・ヌールッディーンの入り口。
大きなドーム型の天井、アラブ建築様式の特徴。スークのざわめきも届かない静かな空間

異国の銭湯、それもイスラム世界のそれだ。韓国のモギョクタンなんかとは違い、けっこうハードルが高い。でもいざ突撃。

入るとすぐ受付け(銭湯の番台的なもの)があり、おじさんが座っている。利用したいと告げると、料金を支払い貴重品を預け中へと進む。ムスリム以外はお断りとか、特にそういう事はない。

イスラム浴場の作法については全く知らない。予習もしていない。案内されるがまま成り行きに任せる。脱衣エリアで服をぬいでいく。最後のパンツをそのまま下ろそうとしたら、係のお兄さんが血相を変えて私の手を止めた。「お前、それは絶対だめだからな」アラビア語でそう言った、多分。そして深緑色の腰巻きを差し出すと、最後きつく締め込むのを手伝ってくれた。どうやら「ポロリ」は厳禁らしい。別に混浴でもないのに、以外と神経質だ

浴場のメインルームに入ると、壁に沿って洗い場となっていて各自体を洗うようになっているが、決して腰巻きを外してはならない。フル◯ンは、完全ご法度だ。でもそのせいで、かなり洗いづらいぞ。周りのシリア人は上手にやっていたが。

あかすり付きコースの料金を払っていたので、係のお兄さんに促されあかすりのエリアで待機する。体格のいい無愛想なおじさんがやってきて、ひとこと何か言うと、台の上で寝そべる私の皮膚をゴシッゴシッと力強く擦り始めた。あっちを向けとかどうしろとか指示されるままに従うしかない。一通り終えると、背中を軽くたたかれ終了となった。

最後はソファーの広間で、ミントティーを飲みながらくつろぐ。
とても面白い経験をした。同じ銭湯文化のある日本人からすると、それほど大きな違和感はない。全裸禁止以外は。
12世紀から営業中ということで、ダマスカスに行ったらおすすめの場所。

「目からウロコが落ちる」聖アナニア教会

日本人なら誰もが使う「目からウロコ」という言葉。これの語源は、キリスト教の新約聖書にあるお話「パウロの改心」からくる。

ざっくり言うと、色々悪い事をした結果、目が見えなくなってしまったパウロ。イエス・キリストに言われ弟子のアナニアが、パウロと会うことになった。アナニアがパウロの頭に手を置き、イエス・キリストの言葉を伝えると「パウロの目からウロコのようなものが落ち」目が再び見えるようになった。その後パウロは心を入れ替えた。

その現場がここ聖アナニア教会で、その地下の部屋には「目からウロコが落ちた」瞬間の映像というか画像というか絵がある。

これだ!

これはすごい。我々がよく使う言い回しの誕生の、まさにその瞬間だ。

みなさんも機会があれば、ぜひダマスカスの聖アナニア教会を訪れてみてください。「目からウロコ」ですよ。

教会の入り口にあった紋章。
近くの路地には、キリスト教関連のものがある。
大事に管理されている。

最古のモスク、聖地「ウマイヤ・モスク」

8世紀の建築で、世界で最古のイスラム教礼拝所である。だれでも見学は自由、ドレスコードはある。

礼拝所内部への入り口を飾るモザイク。逆光の撮影で美しい色使いが目立たないのが残念。
大きな石の柱にもたれ、黙読を続ける老人。
内部の装飾も非常に優雅である。もうちょっと上手に撮りたかった。
キリスト教洗礼者ヨハネの首が安置されている聖堂。もちろん首は見えない。
広い中庭、全体が石造りで床の石もツルツル。
外国人の女性は「ねずみ男」のような、頭から足まであるグレーのコートのようなレンタル服を着用する。

旧市街点描

正面突き当りがスークの入り口。
オスマン帝国時代から続く、ミドハト・パシャ・スーク。
オリーブの実
レストラン「elissar」、こういう時一人旅は少し悲しい。
パン・焼き鳥・オニオングラタンスープ。
シリア・ポンド
床屋に行った。シリア人は肩組んで写真に写るのが好きだ。
旧市街のどこかにあった床屋さん。
さすが古代都市ダマスカス、古いクルマもけっこうある。シトロエン・トラクシオン・アバン。
BMW 02シリーズ、排気量不明
メルセデス・ベンツW110
シトロエン2CVフルゴネット
アラブ料理から一旦ピザに逃げる。
スズキGSX750P 油冷エンジンのやつだ。ノーマルで集合管、ポリスタイプなのにすごい。
ロバの貨物車も現役で活躍で、いろんな所で見た。

ダマスカスには2泊滞在、翌日レバノンに向かう。

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