バスは座席ではなく寝台式であった。寝台バスの情報は知らなかったので、少し驚いた。
車内は現物合わせで組んだ様ないかにも素人っぽい造りで、剛性が足りてない気がする。
いわゆる魔改造レベルなのだ。
それでもだ、思いついたアイデアをすぐに形にしてしまう中国には恐れ入る。日本だと「前例が無い」とボツにされるか、はたまた「書類の山と些細な手続き」に追われ形にならないまま消滅してしまう事だろう。
途中途中で休憩をはさみながらバスは走って行くのだが、とある休憩場所で私は世界で1番汚いトイレと遭遇した。
ちなみに画像は無いよ。あるわけ無かろう。
※ここから先、読むと後悔する可能性があります。汚い話しが苦手な方は、素早いスクロールで飛ばして下さい。食事中の方は、厳にご注意ください。
文字だけでも閲覧注意ですからね。なんなら記事から離脱して頂いてもいいですよ。
私はちゃんと言いましたからね!
ほんとにいいんですね?
仕方ないですね、では続きをどうぞ。
背の高い広葉樹林の山の中、連続するカーブの道をバスは進んで行く。
まれに人家を見かけるが、基本鬱蒼とした山の中だ。
何時間走ったのだろうか、バスは突然停車した。外をうかがうと粗末な造りの売店が見えた。どうやら休憩らしい。
運転手は扉を開けて、大きな声で何か言った。伸びをしながら乗客が降りていく。私も靴をひっかけ、あとに続いた。
ヒマそうな店先を一瞥するが、買うようなものは何もなさそうだ。
何人かが違う方に歩いて行く。その先には、竹を加工して組んだ囲いのようなのが見える。
どうやらトイレらしい。行ってみるか。
10メートルほど手前でニオイがしてきた。鼻がくすぐったいゾ。汲み取りのバキュームカーに似たニオイだ。
半分ほど距離を詰める。天井の無い、竹の囲いの入り口で、前を歩いていたおじさんが急に立ち止まり、戻って来て別の方向に早足で立ち去って行った。
臭気は更にきつくなり、鼻で息をするのは困難だ。やな予感はしてたんだ。
竹の囲いの入り口まで来てしまった。中の様子が見える。地べたに数カ所穴が空いている。「穴にしろ」という事か。
しかしだ、穴は黒く変色した人糞でほぼ埋まり、盛り上がってきていた。その周りを何十というハエが音をたて飛び回っている。たじろぐ。
穴の周囲にも、はみ出したクソやら拭いた紙が混ざり合って、壮絶な光景だ
息を止めてても、猛烈な臭いが袖で隠した隙間から鼻に入ってきて、嘔吐寸前だ。
目もチカチカする。
それでもこの状態のなか利用した人物がいたらしく、新し目のクソや、そのクソを踏んだ靴の跡さえある。
竹の囲いで仕切られたそこは、南国の日差しで増幅されさらに悪臭を発し、雨で流れ出る汚物にまみれ、日々不浄を溜め込んでいく異空間で、間違いなく世界最悪のトイレであった。ほんと、マジで凄かったんだから。『トイレット博士』なら、どんな風に描写しただろうか。
ハァ、近づかなければよかった。orz
きびすを返し、私も他の乗客たちにならい、路肩から谷に向け立ちションをした。
バスはさらに南へと走る。何もなかったように。
いろいろあった寝台バスの旅、翌日午前には終点の西双版納の州都景洪に着いた。
シーサンパンナ、正式にはシーサンパンナ泰族自治州。ミャンマーとラオスの国境に接し、人口の7割を泰族他少数民族で構成される地域で、景色も文化もほぼ東南アジア、そんな土地だ。
この日は景洪泊、翌日ガンランバ経由でモンラーへと向かう。
その先はラオスへと道は続いている。
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