1986年中国・パキスタン・インド・ネパールの旅③:中国、旅の不快指数強国

上海発烏魯木斉(ウルムチ)行 第52/53次特快 走行距離4079km 乗車時間3泊4日

この長距離列車に乗るその前にちょっと毒を吐いておく。

中国旅行って外国人旅行者には厳しいリアルな中国との対峙があり、それを乗り越えるための強さとしたたかさを持たないと、個人旅行は続けられない。入国後わずか3日で、否応なく気付かされる。なーんて今ではこんな風にしたり顔で書くこともできるが、当時の現場はとにかく「ムカつく」事が多かった

浦江ホテルの朝ご飯が、まず最低。錆びた廃エンジンを砕いて粉にして煮出したようなコーヒー。ハムは妙な色彩で食べ物の味がしない。食器類が用意されたりされなかったり。

洗面所の水は長江から直に汲んで来たような水で、歯磨きすら気持ち悪い。

店で何か買おうにも基本的に「没有メイヨウ」つまり「無い」。有れば有るで釣りを投げてよこす。

列と順番の概念が無く、大きな声の人や割り込みの上手い人が勝者になれる社会。

はぁー、疲れますわ…。


中国国際旅行社を通さないと、基本的には外国人は鉄道の切符や航空券を買う事ができない。

そして切符1枚買うにも相当な時間と手間と忍耐が必要で、中国個人旅行を象徴する作業の1つだ。

手に入れたのは、10月5日上海発ウルムチ行きの寝台列車の軟臥(4人コンパートメント)で398.6元。

より低い等級で移動するのが当時のバックパッカーの美学であったので、ファーストクラスである軟臥しか買えなかったのは、不本意ではあった。料金もかさむし。


3日間滞在した浦江ホテルを後にし上海駅に向かう。

おまえ、中国国内最長距離の優等列車だぞ。相応しい写真の撮り方ってあるだろ!

これじゃなんも分からん!

鉄道ファンに怒られそうだ。確かにそんな感じがする。

これもひどい。ここは行先表示板がメインなはずなのに、メガネおじさんの笑顔につい目がいってしまう。

待てよ?思い出したぞ。昔中国は列車の撮影が禁止だったはずだ。何か機密的なアレで。だからこんなお粗末な写真しかないんだ。妙に納得だ。


何はともあれ、列車は上海駅を定刻11:28に出発した。

空は今にも降り出しそうで、旅の行方を暗示しているのだろうか。

コメント

コメントする

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

目次