筆者が学生の頃の話なので、もうかれこれ40年前にもなるのでかなり古い。当時大学生だった私には、MやOやTといったバイク仲間がいて、そいつらと走るのがなにより楽しかった。
ツーリングの待ち合わせ場所の1つが、新しくできた用賀の白いイエスタデイ、東名高速の出入り口に近い環八沿いにあって、コーヒーなんかを飲みながらくだらない話しをしていたのが懐かしい。
第三京浜のうどん屋も定番の待ち合わせ場所で、何十台というバイクが集まっていた。ただ、こちらは少々ガラの悪い雰囲気なので避けるようなこともあった。
モリワキの黒い集合管CB750 とセパハンに戻したヨシムラサイクロンのカタナが、背を丸めバンダナをひるがえし、轟音を共鳴させフルスロットルで飛び出して行った。それを見ていたRZ350がかん高い音と白い煙を残し、ものすごいスタートダッシュで追いかけていく。1速、2速、3速とシフトアップ、クラッチを切ったその瞬間白い排気が途切れる。そしてもうすでに速度は3桁、前を行くナナハンに追いつきそうだ。
更にその後、青白の革ツナギのガンマが、「パララン」とキック一発エンジンをかけると、レッドゾーンまで回し、息の長い加速を繰り返し消えて行く。右足はステップから出したままだ。
ライムグリーンのニンジャと赤白のボルドールが続く。2台並んで本線に合流すると、切り裂くような加速でみるみる点になっていった。
がさつで品の良くないグループだった。
さて、白いイエスタデイの駐車場で待っていると、Oが1100刀で現れる。アクセルを1回あおると、野太い排気音を周囲に響かせ、キーをひねりエンジンを止めた。TはカワサキW3で、これが爆音だ。これでよく車検に通るなといつも不思議に思う。Mはでかいバイクに興味がなく、CB250RS-Zのままだ。私はZ750FXⅢ。
例によって、どうでもいいバイクの話しで盛り上がっていると、Tが突然「バイクは2気筒で十分っ!」とキレ気味に吐きだした。
どうした。何があった?
もしかしてあの事件がまだ尾を引いているのか?
私達が限定解除をする前の400の4気筒だった頃だ。ある時どこかにツーリングに行った帰り道、珍しくMが黄色信号で止まった。私もなんとか急ブレーキで止まった。Tは止まれずに私に突っ込んだ。バイクは壊れた。「お前らなんで止まったんだ」と怒られた。まあいつもなら平然と通過しているからな…。
TのバイクはFZ400R、高回転型で少し窮屈なそのバイクを、使いづらそうにしていたような気がする。Tは限定解除をするとすぐにFZを売り払い、どこかで見つけたW3(650cc 直列2気筒)に乗り変えた(上のアイキャッチ画像のバイク)。
あれから幾星霜、世の中のバイクは2気筒が主流となった。そもそもBMW、ハーレー、DUCATI、モトグッチなんかは初めから2気筒だ。日本のバイクですら4気筒モデルは、もう数が少なくなってしまった。
「バイクは2気筒で十分」なのかもしれない。
あの時、Tが発した言葉は正しかったのだろう。今いろいろなあれやこれや(実は私達も上記の品の良くないグループの主要メンバーであった)を思い返しては、反省している今日この頃ナノデアル。
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